エコキュート低周波音による健康被害事件-新しい解決事例の報告-

~エコキュート設置後、稼働前の段階での交渉が実を結んだケース~  
昨年の12月19日に消費者安全調査委員会が意見書及び調査報告書を発表したことも手伝って、従来とは違う新しい強い風が吹いてきたことを感じています。低周波音問題に取り組み始めて4年余りになりますが、以前にはなかった解決例を経験することができました。これも「新しい風」を受けた結果だと実感します。これまで裁判での解決例を報告してきましたが、この報告は、初めて交渉という方法での解決です。
 これまで私が代理人として関与したケースは、交渉、訴訟、いずれの手続きの態様を問わず、全てのケースが隣家に設置されたエコキュートが現実に稼働し、不眠を初めとする諸症状が既に生じた後の段階で依頼されたものです。しかも、隣家が使用しているエコキュート運転音に悩まされた被害者とその隣家との間でかなりの摩擦が生じている段階での受任です。その中には、初めてのエコキュート裁判でしかも初めての和解例として有名な高崎のSさんのように、公調委の途中で受任した場合や、これも裁判での和解成功例の1つである埼玉県入間市の事例(工場のコンプレッサー等による被害)のように公調委で棄却(裁判で言うと敗訴)された直後に受任した例もあります。
 これまでの受任事例の全てが既に隣家の住人がエコキュートを使用している状況ですから、電気温水器に変更するとなれば、100万円近い費用が余分に必要になりますし、既に入居してエコキュートを使って生活していることからくる抵抗感も大きなものがあります。
 これに対し、ここで紹介する事例は、建物自体は完成していますが、まだ、施主が入居前で、きちんとした挨拶すらしていない時期での受任です。依頼者(Aさん)が隣に新築家屋がほぼ完成した時点で自宅の寝室と僅か約5メートルの至近距離の位置(図①にエコキュートが設置されたことに気付き、住宅の施工会社と隣人との間で交渉が始まりました。相手側から、「図の②か③以外の位置を希望するのなら、現状の位置で工事を強行する」と最後通牒を出されて、やむなく承諾したけれども不安になり、HPを見て電話相談を申し込んだそうです(Aさん自身は、図④への移設を希望したが問題にされませんでした)。
 図をみれば明らかなとおり、現状と相手方の移設案で低周波音の影響に差があるとは思えません。距離による低周波音の減衰は確かにありますが、角度だけでは殆ど影響はないと思います。現実に、この図②または④の位置関係で訴訟をしている実例がありますし、相談事例も少なからずあります。
 いつ隣家が入居してエコキュートを稼働し始めるか予断を許さない状況ですから、速やかに施工業者に通知をして、工事を一旦中止して交渉を開始する必要があります。1月13日の電話相談後、委任を受けて通知をしました(1月16日到達)。この通知には、この問題の理解を促すため、これまでに集積した資料を添付しています。通知が届いた日に施工会社から電話連絡があり、「まだ資料全てには目を通せていないが、検討する時間が欲しいので少し猶予がほしい。工事を強行することはしません」と前向きの姿勢を示しました。
 通知では、未だ入居前の段階なので、今なら、コストをかけることなく解決が図れること、解決策をとらずに強行すると、裁判になり、エコキュートメーカー(東芝)、施工会社、施主、そして、依頼者の全てに多大なコストがかかることを伝えました。そして、解決策としては、電気温水器への変更が最善で、現状と反対側への移設(図の⑤の位置)が次善の策であることを記しました。
そして、Aさんより、1月27日にエコキュート撤去、1月29日に電気温水器(三菱)設置の報告を受けました。
 Aさんのケースは、ヒートポンプと自宅壁との距離が約4,5メートルで面していますから、この位置関係では低周波音がAさん宅内に浸透する可能性が高く、もし、現状のまま稼働していればAさん夫婦に不眠等の影響が生じた可能性は充分にあったと思います。可能性の話をいくらしても仕方がありません。少なくとも「害悪の芽」を積んだことは確かでそれが最善であることを疑う人はいないでしょう。
 電気温水器への変更による結果は、既に高崎の裁判のケースで確認されていますが、念のため稼働後の影響については確認でき次第、報告をする予定です。


<平成27年2月24日付報告>
 エコキュートが設置されていた場所とほぼ同じ位置に電気温水器が設置され、隣地住人が入居、電気温水器が稼働し始めて約2週間が経過しましたが、Aさんの居宅内では全く電気温水器の運転音は浸透せず、いつ稼働しているのかさえ分からないそうです。改めて、エコキュートから電気温水器への交換が最善の解決方法であることが証明されました。

図(pdf)