エコキュート低周波音による健康被害事件-新しい解決事例の報告その2-

~エコキュート設置後、稼働前の段階での交渉が実を結んだケース・その2『設置場所変更による解決例』~  

前回は、『エコキュートから電気温水器への交換』を最善の解決例として報告しましたが、今回は、当初設置予定位置(依頼者宅からヒートポンプまで約1メートル)からの設置場所変更(約8メートル)によって被害発生を防止できた事例を報告いたします。

■ 設置図【PDF/28KB】

 当初の設置予定場所は、依頼者宅から約1メートルの至近距離であり、現実にその位置に設置されて稼働を開始した場合は、かなり大きなデシベル値(音量)で運転音が依頼者宅内に浸透する可能性が高く、従って、健康被害もまた発生する可能性が高かったケースでした。
 隣家には、最善の方法として電気温水器への変更を求めましたが、それは断られて、設置場所の変更を検討する、との回答でした。そこで、私は、隣家の反対側に設置するよう求めましたが、これも断られ、結局、(社)日本冷凍空調工業会が「据え付けガイドブック」で示している脇の位置で可能な限り、依頼者宅から遠ざけるとの回答で交渉は終了しました。
 変更後の設置場所のポイントは、①依頼者宅からヒートポンプまでの距離が約8メートル、②運転音が隣家を回り込む位置関係になること、の2点です。
 まず、決定的なのは、依頼者宅の寝室まで約8メートル確保されている点です。つまり、これまでのエコキュートによる被害事例では、約5メートル以内が危険領域で、8メートルは一応安全圏にはいります。そして、この設置場所の場合、運転音が施主宅を回り込む形になり、依頼者宅とヒートポンプの間に施主宅が介在するので、より低周波音が減衰すると推測されます。
 稼働後の低周波音の浸透状況について、依頼者からの報告によると、午前3時半ころから稼働していること、ヒートポンプ近くでファンが回転していることが視認され、運転音も聞こえていたそうですが、家の中に入ると全く運転音は聞こえず、寝ていても全く気にならないそうです。
 稼働開始時期が4月上旬ですので、真夏と厳冬期の中間程度の稼働状況と思われますが(真夏は厳冬期と比べると、30%程度稼働率が下がるはずです)、この位置関係なら厳冬期でも影響はないと予想しています。

 稼働の前後を問わず、設置場所の検討は難しい問題を抱えています。設置場所の変更後に別の隣人に被害が及ぶ可能性があるからです。それに加えて、その住宅の事情によっては、設置場所が限定されて現実に変更する余地がない場合もあります。しかも、距離が離れれば離れるほど運転音は減衰しますが、絶対に浸透しないという保証はなく、その意味で「可能な限り」距離をとることで、音の浸透と被害発生の可能性を最小限に止めるという解決策であり、ゼロにはならない点が、「最善の方法」である機種変更との違いです。