第2次低周波音規制・国家賠償訴訟提起の報告~実質的な審理を求めて~

 平成28年7月8日、東京地方裁判所に第2次低周波音規制・国家賠償訴訟を提起しました。
 平成24年に提起した第1次国賠訴訟については、このブログで詳しく報告しました。それから約4年が経ちましたが、その間に消費者安全調査委員会によるエコキュート低周波音についての事故調査と報告があり、この分野において目を見張るべき進展がありました。そして、昨年末ころから始まった第2次エコキュート(エネファームも含む)低周波音健康被害民事訴訟を待って、第2次国賠訴訟の機運が生じた次第です。

 今回の国賠訴訟では目標を思い切り絞っています。目標は2つです。1つは、真正面から審理をすること、2つ目は、参照値について数値的な検討をすること、この2つのことを裁判所に強く訴えることに目標を据えています。このような戦術を敢えてとる理由は、勝訴を目標にしても相手にされないで終わってしまうので、形より実をとることにしたのです。裁判所の逃げ道を塞ぐ戦法です。

 前回の国賠訴訟は、とにかく低周波音による被害者を結集して国賠訴訟を実現し、世間に広く問題提起することが目標でした。確かに、一応の世論喚起的な効果はあったとは思います。しかし、現実の東京地裁の審理は私の予想を大きく裏切るもので、裁判官の無関心(「またか?」という感じ)、国側代理人(検事)の裁判に対する姿勢は、目を覆うばかりの有様でした。裁判官が2回目の審理あたりで「もう結審でいいですか?」と言ったときはびっくりして、「えっ、まだ、続きがありますよ」と言ったことは忘れることはできません。3回目に原告側の分厚い準備書面と資料を提出して法廷に臨み、国側の反論を求めたところ、国の代理人は「反論する必要はありません」と回答し、裁判官は「そうですか、では、次回結審の方向で」ということで、結局、5回目で裁判は終了しました。時間的には9か月かかっていますが、原告の体系的な主張に対して、国側は形ばかりの答弁を1回しただけで実質的な反論は全くなくて、国側が出した書面はまるで広報誌のようでした。

 東京地裁記者クラブでの記者発表では、拡大してボール紙の台紙を貼った大きなグラフを見せて、参照値と欧州ガイドライン・ISO閾値と比べて10デシベルも緩い参考値を発表した愚行・悪行を訴え、その10デシベルの間に原告を初めとした全ての被害者の事例が入っていることを強調しました。ある報道のニュースで私が掲げているのがそのグラフです。

 私は正しい法律家の良心をもった裁判官がこのグラフを見たら、そう簡単には「環境省の権限の不行使が許容される限度を逸脱して著しく合理性を欠くとは認められない」とは言えないと思うのですが、さて現実はどうでしょう。
 詳しくは、取材関係の資料をご覧下さい。

 つい最近、消費者安全調査委員会は一昨年末のエコキュート事案の報告に引き続き、環境省を初めとした関係機関に対してヒヤリングを実施しています。大変有意義なことですが、残念ながらお役所の限界です。「周知を徹底して下さい」といくら言っても、肝心の『悪魔の参照値』が君臨していますので、相変わらず、市役所で被害者は「参照値を下回っていますから...」と言われ続けることでしょう。
 消費者安全調査委員会が「参照値を撤回してはいかがですか?」とは言えないのしょうが、本当は誰かが言わないといけないことなので、第2次国賠訴訟と相成った訳です。今世紀中には実現する可能性はあると思っていますが、それまで待ってはいられません。
 『悪魔の参照値』が定められてしまった我が国には、早急に欧州主要国のガイドラインに沿った基準値が規定されなければなりません。是非とも応援をお願いします。

■参考資料
第2次国賠訴訟提起・記者発表に向けて~実質的な審理を求めて [PDF]
第2次国賠訴訟記者会見~口頭コメント資料 [PDF]

■弁護士ドットコムニュース記事
https://www.bengo4.com/saiban/1139/n_4875/