今回の解決事例は、前回に近い解決態様ですが、エコキュートと24h床暖エアコンという2つの機械の運転音が問題になった点が異なります。前回は、さいたま市内の事例でしたが、今回は兵庫県K市の事例です。
昨年12月、三菱電機製のエコキュートと長府製エアコン・床暖房が隣家新築住宅に設置され稼働を開始するとほぼ同時に、深夜から早朝にかけて依頼者宅に浸透してくる低周波音に悩まされるようになり、耳から聞こえてくる音が脳への圧迫感となって強い不快感を感じて慢性的不眠に陥りました。
測定した結果、依頼者宅内で、50Hz、80Hz、100Hz等の複数の周波数域で卓越周波数(「ピーク」とも言う、特定の機械音のこと)が計測されました。深夜と早朝のみでピークを示す音がエコキュートであり、それ以外の音が床暖エアコンによるものと推測されます。
受任後、直ちに所轄の裁判所に民事調停の申立を行い、2回目の調停期日に合意が成立し、約1ヶ月後に両機械の移設工事を行うこと、費用を申立人と相手方(隣家と工務店)が折半することが主な合意内容です。今回の合意で特筆すべきは、設置業者であるハウスメーカーが最も大きな金銭的負担を負担するという誠意を見せた点です。やはり、消費者安全調査委員会による報告意見が目に見えないところで大きな力を発揮していると思われます。
当初の設置場所と移設位置は図を添付しますのでご覧下さい。
移設先は、別の隣家との関係で当初位置の反対側が不適切なことから、畑に面している側面側に両室外機を移設することにしました。室外機から依頼者宅居室までの距離は、約6~7メートル程度ですが、当初の1.6メートルの位置にあった2つの室外機の音は格段に減縮することは間違いなく、移設・稼働開始後、6日目に両室外機の音は全く聞こえてこないとの報告を受けました。ただし、床暖エアコンは殆ど稼働していない時期であるため、それについては本格稼働する冬季・夏季を待たねばなりませんが、エコキュートの運転音の問題が解消したことから考えてエアコン床暖の運転音も依頼者宅内には浸透しないであろうと予想されます。
本事例は、移設による解決策としては、距離的に限界事例として、また、最近、相談例が増えつつある「エコキュート・床暖エアコン併設事例」の解決事例として、意義があると思い報告しました。